ギターのサウンドに迫力や存在感を与えるために欠かせないのが「歪み系エフェクター」です。
しかし、初めて触れる人にとっては「どんな仕組みで歪むの?」「オーバードライブ・ディストーション・ファズって何が違うの?」という疑問が生まれるかもしれません。
この記事では、歪み系エフェクターの基本的な仕組みや種類を、実際の音源も使用しながらわかりやすく解説します。
ギターの「歪み」の仕組み
ギターの「歪み」とは、言い換えれば「音割れ」です。

通常の音声は、画像の左のように滑らかな正弦波のような形をしています(もちろんギターの信号はもっと複雑です)。
しかし、信号の大きさが限界まで達すると、回路が通過できる限界以上の信号の箇所はつぶれ、右側のように矩形波の形に近づきます。
すべてのギターの歪み系エフェクターは、ギターから発する信号の大きさを回路を通過できる限界まで増幅させ、信号の形をつぶすことで音を変化させるのが基本的な仕組みです。
実際に聴き比べてみましょう。正弦波の音は上、矩形波の音は下です。
矩形波の音の方が鋭い音に聞こえます。
歪み系エフェクターの種類
歪み系エフェクターは動作の原理はどれも同じなので明確な区分けはありませんが、歪みの度合いで種類が分けられることが多いです。
ここでは、歪み系エフェクターの分類である「オーバードライブ」、「ディストーション」、「ファズ」について、代表的な(個人的に好きな)エフェクターの紹介とおすすめするプレイスタイルを紹介します。
歪み系エフェクターの種類①:オーバードライブ
オーバードライブは、歪みが浅いので、ギターのアンプで直接歪ませたようなナチュラルな歪みが特徴です。
各弦の音がはっきりと聴こえるので、コード演奏が主になるバッキングにおすすめです。
代表的なエフェクターはBOSSのBD-2、IbanezのTS-808などがあります。
歪み系エフェクターの種類②:ディストーション
ディストーションはオーバードライブよりもさらに深い歪みで、ファズよりは原音のニュアンスが残され、コードを弾いてもちゃんと聴こえます。
単音でも力強い音が出て、サステインも稼げるので、バッキングはもちろんリードプレイにもおすすめです。
代表的なエフェクターはBOSSのDS-1XやProcoのRATなどがあります。
歪み系エフェクターの種類③:ファズ
ファズは最も歪みが深く、音がつぶれてザラザラした独特の質感を持ちます。
リードプレイによりインパクトが欲しい場合や、シューゲイズなどの音を飽和させたいジャンルにおすすめです。
代表的なエフェクターはElectro HarmonixのBIG MUFFやJIM DUNLOPのFUZZ FACEなどがあります。
まとめ
同じ「歪み」でも、種類や設定によって表情は大きく変わります。
まずは自分の好きなジャンルや演奏スタイルに合ったタイプを1つ選び、実際に弾いて耳で違いを確かめることが上達への近道です。
気になるものがあったら楽器屋さんで「これ試奏させてください!」とお願いすれば快く試奏させてくれると思います。
最終的には、複数の歪み系エフェクターを使い分けたり重ねたりすることで、より幅広い音作りが楽しめる沼が待っています。
